会長挨拶

この度、GID(性同一性障害)学会第22回研究大会・総会を川崎市において開催させていただくことになりました。神奈川県での開催は初めてのことであり、大変光栄なことと思っております。

さて神奈川県での開催と述べましたが、川崎市は首都東京と日本最大の政令指定都市である横浜市にはさまれており、神奈川県という単位で物事をとらえる機会は少ないのが現状です。また川崎市と聞いても多くの方は縁が薄く、電車で通過はしていても足を踏み入れたことのない方が多いのではないでしょうか。人口は150万を超える日本でも有数の大都市の1つですが、東京と横浜という日本を代表する都市に挟まれ、影が薄いと言わざるを得ません。そこで今回、会場も川崎市に設定し、立ち寄っていただく機会にしたいと考えました。また大会のテーマも「GID(性同一性障害)の方を地域と医療で支える」といたしました。主催者の企画としては川崎市のLGBT支援について行政担当者を中心に発表し、現状と課題を検討するシンポジウムを考えました。またそれ以外でも児童期のGID、GIDと他の精神疾患との関連、当事者を中心とした現状への意見発表など、多彩な内容が予定されております。発表者には、なるべく川崎市在住や在勤者の方にご登壇いただき、相互にお知り合いになっていただく、また他の地域の方に川崎市の関係者や支援者を知っていただく機会になればと思っております。これまでの本学会の主催者は医療関係者や学術研究者が多く、行政的視点からの提言の機会は少なかったように思います。当事者の方は、学校や行政機関での苦労から、支えられたというよりも不満の方が多いかもしれません。しかし近年、教育や一般行政でもLGBTへの理解が進み、今後地域での支援や医療機関とのさらなる連携を模索していく必要がある時期かと思います。ぜひ多くの方に学会にご参加いただき、貴重な発表の場、研さんの場としていただければうれしく思います。

川崎市はこれという全国的に知られた観光地や名産品もなく、明確なイメージのない土地柄かもしれません。ただ、世界各地、日本各地の方が移り住み、作り上げてきた多様で、こだわりのない価値観がある都市だと思います。東京や横浜にはない穴場の割安な飲食店などもあると思いますのでぜひ研究の上、ご堪能ください。本年度の学会は2020年3月20、21日と3連休の前2日に設定いたしました。3月22日には東京などの観光も可能かと思います。学会に合わせ、東京オリンピックを前に急速に変わりつつある川崎、東京をお楽しみになる機会ともしていただければ幸いです。

GID(性同一性障害)学会第22回研究大会・総会 会長
川崎市こども家庭センター
中山 浩