会長挨拶
第40回日本熱傷学会総会・学術集会を主催させて戴くにあたり、ご挨拶申し上げます。 第40回の総会・学術集会は、平成26年6月5日(木)〜6日(金)に埼玉県さいたま市の「ラフレさいたま」で開催させて戴きます。伝統ある本学会の会長を務めさせて戴くことは大変名誉あることであり、心から光栄に感じております。
メインテーマは「熱傷治療のブレイクスルーを目指して」とさせて戴きました。重症熱傷の治療は半世紀前と比較すれば、大きく進歩して生存率も向上しました。輸液療法、呼吸管理、創部局所療法、栄養管理、手術療法(早期手術、同種皮膚移植など)、薬物療法などが著しく進歩したことは周知のとおりであります。しかしながら、最近の20年間、1990年代以降は生存率を大きく向上させるような治療法の開発は見あたらず、全体としては停滞している感が否めません。熱傷治療のブレイクスルーを目指して、画期的な治療法の登場が期待されます。近年の医療工学の発展と新技術は、この状況を打破できる可能性があり、本学会では医工連携に基づく新たな診療技術に注目したいと思います。
本学術集会の招待講演には、米国からBasil A. Pruitt, Jr., M.D.(Journal of Trauma 前編集長)とSteven E. Wolf M.D.(国際熱傷学会誌 Burns 編集長)のお二人をお迎えし、それぞれご講演戴く予定です。Dr. Pruittは、ご存知のとおり、半世紀にわたって世界の熱傷の治療と学術領域をリードしてきた大御所中の大御所です。歴史的な治療の進歩を中心に、高所からのお話しを戴けるものと存じます。また、Dr. Wolf は国際熱傷学会誌 Burnsの編集長であり、熱傷の医療・研究に携わる人ならば誰でも知っている高名なドクターです。現役の編集長ならではのお話しが聞けるものと、わたくし自身ワクワクしております。なお、特別講演として国立成育医療センターの金子剛先生にご講演して戴く予定です。金子先生は同種皮膚移植の診療報酬改訂に大きな役割を担って下さった先生で、本邦のスキンバンク破綻の危機を救済して下さった恩人であります。当時の差し迫った状況と活路を見出した示唆に富む魅力的なお話が聞けるものと確信しております。そのほか、今後の熱傷医療の進歩に関連するシンポジウム、パネルディスカッション、およびセミナー等を企画しておりますので、会員の先生方のご指導ご支援を何とぞ宜しくお願い致します。
熱傷医療に関わる多くの方々のご来駕を、心よりお待ち申し上げます。